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『メイちゃんの執事』 [星組]

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今日は前回に予告したとおり『メイちゃんの執事』の感想を書いていければと思います。
この作品を観劇するにあたって、漫画を全て読みました。
ですから、ストーリーそのものは全て分かった上での観劇となりました。

この写真は2幕が始まる前に撮影したものです。この羊ちゃんがとてもキュートなのです!
目をまばたきしたりウィンクしたり…客席中羊ちゃんに黄色い声をあげていました!
(私も「かわいいーきゃー!」と叫んでいた人達の1人です。)
ちなみに1幕が始まる前は羊ちゃんではなく薔薇が映し出されていました。

さて、感想を書いていきましょうか。
(少し結末を明かすような記述もありますので、ご覧になるときにはご注意ください。)

宝塚は少女漫画にあるようなキラキラした世界を具現化するところだと思います。
そういった意味では、今回の上演は宝塚にとってとてもよかったのではないでしょうか。
『メイちゃんの執事』は設定自体が夢のような話ですよね。
お嬢様と呼ばれている人達には執事が必ず側についている、その世界が存在し、
聖ルチア学園はそういう人達のための学校である。-本当に夢のような話ですよね。
そのようなありえない世界観に宝塚がぴったりと合っていました。
だから『メイちゃんの執事』は宝塚にとても良い題材だと思います。

脚本や演出も上手くまとめられていました。児玉先生の腕が上がっていましたね。
彼女にとって留学はとても充実した成長できた場だったのではないでしょうか。
ただストーリーのほうで、理人さんのデュエロによる大怪我以降落ち込んでいたメイが
いかにして復活したかーその経緯が全てカットされていたので、
「どうして元気になったの?」という疑問で客席にいる人々の脳内がいっぱいになると思います。
私は既にストーリーを把握したので、そういうことにはなりませんでしたが、
ちょっとした違和感を感じずにはいられませんでした。
演出のほうはスクリーンや照明を効果的に使っていたのではないでしょうか。
小型カメラの使用については、最初の理人さんの目が大きくスクリーンに映していたときは
本当にくすくすと笑ってしまいそうでした。メイの視界を現しているんでしょうが…面白かったです。

柴田理人役の紅ゆずるさんは見た目がとても麗しく、執事姿がとてもお似合いでした。
歌唱の方は『Romeo et Juliette』のときに比べ上達していたように感じられました。
ダンスのほうは「頑張ってね~」という感じです。
<理人の悪夢>という場面でコンテンポラリーのダンスがあるのですが、
もっと技術的な向上が見られれば、理人の心情表現ももっと分かりやすくなるのではないか…と。
(ついでに…2幕はじめの「執事の1日」についての場面では某作品のような振付があり、
「振付家か誰かがその作品を観ていたのではないか…」と思わず考え込んでしまいました。)
台詞回しについては時々わざとらしいなと思うところもありましたが、
あまりにもかっこいい理人さんそのものを演じてくださっているので、あまり気にしませんでした。
もともと紅さんの芝居が好きな私は紅さんならではの理人も素敵な男性だなあと思いながら、
拝見しました。ドラマや漫画とは違うSランク執事が観られて嬉しかったです。

東雲メイ役の音波みのりさんはスタイルがいい方ですね。
今まで『ハレルヤ・ゴーゴー』などで彼女の舞台姿を何度か観てはいましたが、
真ん中に立つ彼女を観るのは初めてだったので…ちょっと驚きました。
顔がとても小さく、少女漫画のヒロインを演じるにはピッタリな人材ではなかったでしょうか。
外見も性格も彼女ならではの魅力的な東雲メイを演じていて、
理人や剣人が彼女を想うことに納得がいきました。
髪型もボブに切りそろえていたので、そこに彼女の今公演に対する気合いを感じました。

柴田剣人役の美弥るりかさんはとても上手でした…何もかも。
やんちゃでかっこいい剣人を好演していましたね。
理人とは違う弟ならではの良さというものを舞台でしっかりと表現できていたのではないでしょうか。
本当にメイの同級生に見え、理人の弟に見えたことが凄いと感じました。
(『アンナ・カレーニナ』ではあのようなおじさん(カレーニン役)も演じていたのに…と思って。)
2幕のはじめ執事の資格を得るため必死で頑張る剣人の姿に思わずエールを送りたくなりました。
89期生を初舞台の頃からずっと応援していた私としては、彼女の成長ぶりには感激しました。
美弥さんの剣人を実際に観られてよかったなあと心から嬉しかったです。
(1幕での青山対理人のデュエロで女装して出てくる剣人にも注目です!)

ルチアこと本郷詩織役の白華れみさんは凄かったです。
凄みのある演技で舞台を引き締めていました。素晴らしかったです。
漫画でもドラマでも詩織のことをそれほど好きになれなかった私ですが、
彼女の詩織を観て、「この人は正直な人なんだなあ」と少し好感をもてるようになりました。
「東雲メイを許さない」というドスのきいた台詞には一瞬驚きました。
しかし、それほどまでに熱演している彼女が凄いなあと思いますし、
白華さんは芸達者な女優さんになられたんだなあと、すごく嬉しい気持ちになりました。

忍役の真風涼帆さんは凄く男役として成長されましたね。その成長ぶりに感激しました。
歌唱のほうも『My dear New Orleans』の新人公演のときと比べると凄く上手になりましたね。
舞台でたくさん経験を積ませることの良さを再認識しました。
堂々と歌え、演じている…今までの彼女の舞台姿には自信をあまり感じられなかったので、
本当に「よく頑張ったなあ」と感動しました!これからもその調子で頑張ってほしいですね。
忍としては掴みどころのない隙を見せない男を好演していたと思います。

主な5人の登場人物について語りましたので、これからは私の思うままに綴っていきますね。

まず、私が応援している妃海風さんの山田多美について。…多美姫と呼ばせていただきます(笑)。
多美姫はまさに漫画そのままでした。劇画からそのまま現れたような感じでした。
立ち回りはずっとやっているわけではなかったのですが、何度も何度も武器を投げていました。
特に1幕のオンブラ寮での1場面では舞台中を駆け回りながらの立ち回りで、本当に大変そうでした。
しかも、その後に1小節ほどですが、歌っていましたから…
息が上がるのをおさえるのにも苦労していそうです。歌唱の方はとてもきれいでしたよ。
パンダの帽子を被っていることが多いので、多美姫は舞台で見つけやすかったと思います。
遠目から観てもすぐにどこにいるかがよく分かるのではないでしょうか。
メイクの方は入団してもうすぐ3年目に突入という生徒であるにも関わらず上手でした。
常にメイクの研究もなさっていたと思いますが…本当に綺麗でした。
妃海さんにとって多美は忘れられない役でしょうし、彼女の好きな役柄になったと思います。
(CSで文化祭の放送を観た限り好きそうな気がします…。)
妃海さんの多美姫をもう一度実際に客席から拝見したかったです…。

多美姫の執事こと神崎を演じていた汐月しゅうさんはかっこよかったです。
長髪にメガネ姿がお似合いですね。何度も「かっこいい!」と叫びたくなりました。
飄々と生きているような雰囲気を醸し出し、他の執事とは少し違う人物のように思えました。
妃海さんとは『Romeo et Juliette』のモンタギューチームで何度か組んでいたので、
コンビとしてすぐに上手くいったのではないかと思いますが…立ち回りが素晴らしかったです。
2幕はじめの「執事の1日」でも理人と2人で芝居をする場面があって目立つので、
彼女のファンは必ずこの作品を観に行くべきだと思います。
歌唱の方はもう少し頑張っていただければと願っています。

竜恩寺泉役の夏樹れいさんは男役さんであることを忘れてしまうぐらいのお嬢様でしたが、
どこか男らしい口調をする女性なので、夏樹れいさんにぴったりな役どころだったと思います。
後継者問題が割愛されていたので凄く目立っているわけではありませんでしたが、
クラスの優等生としてのしっかりとした性格はよく出ていました。

木場を演じていた如月蓮さんは凄くよかったです。まさに「木場」でした。
理人の悪夢では「理人の影」として素敵に舞っていらっしゃいました。
本当にかっこよくて素晴らしかったので…感動しましたね。

華山リカを演じていた音花ゆりさんも漫画そのままのリカでした。
…リカの執事である青山を演じていた芹香斗亜さんも。
どのお嬢様もどの執事もベストキャスティングだと言えるものでした。
今回はキャスティングも凄く力を入れたのだなあと、スタッフの気合が伝わってきました。

シスターローズを演じていた美穂圭子さんは…ドラマ版の方を連想させる学園長でした。
聖堂で賛美歌風のメロディーにあわせて学園の規則を歌う姿には貫禄を、
デュエロを何が何でも観ようとする姿にはお茶目な部分を感じました。

本郷金太郎役の汝鳥伶さんは漫画そっくりの風貌で驚きました。
茶目っ気たっぷりに演じられていました。出番が少なくても存在感が凄くて…さすが専科さんです。

今回の作品を通じて、宝塚が「動く少女漫画」としての存在意義もあるのだと改めて認識しました。
「夢の世界をお届けする」という意味では宝塚も少女漫画も同じです。
ですから、今回の舞台化は宝塚にとってもよかったのではないでしょうか。

この公演がたくさんの人々から愛されますよう願っております!


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