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宝塚版『オーシャンズ11』 [星組]

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観に行くか観に行かないか迷った挙句、
「迷うなら観ろ」という言葉がどこからか聞こえたような気がして、
さっさと公演のチケットを先月末に購入しておいた私です、こんばんは。

『オーシャンズ11』を観に行って良かったなあと心から思いました。
その感想を書いていきます。

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この公演は世界初の舞台化ということで制作発表のときから話題になっていましたね。
ですから、映画ファンの方も興味をお持ちではないかと思います。
私も舞台化がきっかけで映画も観ましたが、犯罪アクションドラマとして秀逸な作品の
魅力に私もどっぷりと浸っていました。

宝塚版『オーシャンズ11』は映画とはまた違った魅力あふれる物語でした。
・ダニー&テス&ベネディクトの「恋のトライアングル」
・オーシャンズ11による「金庫破り」
・エコホテル建設に関しての「複雑な事情」(不動産問題や「EVER GREEN」問題)
・エコホテルのショーにおける「女の闘い」
という4本柱で成り立っていました。
映画では「金庫破り」がメインテーマでしたよね。
今回はそうではございません。「恋のトライアングル」が主軸となっていました。
そこが宝塚、です。宝塚には恋愛が必要です(笑)。
そういうことはさておき、サイドストーリーがあることで作品に深みが出たなあと思いました。
ただの「金庫破り」のストーリーではないので、1人1人の登場人物にエピソードを添えることが出来、
そのことにより、さらにオーシャンズメンバーの「金庫破り」への意気込みを感じさせました。
勿論、「金庫破り」が大きなテーマになっていますが、
「金庫破り」がただの手段であって目的ではないということが明らかです。
(一部の金庫破りメンバーには「金庫破り」こそが目的になっている人達もいますが。)
ダニーの場合、目的は「テスに自らの愛を証明するため」(多分そうだと思われる)なので、
彼を主役にしたらメインテーマが恋愛のほうになってしまうんですよね。
2幕の初めに「恋のトライアングル」をアダムとイヴの物語に当てはめた幻想的な場面もありますし。
その場面はSHUN先生が担当されていますが、あの場面は柚希さんあっての振付でしたね。
彼女の「蛇」が踊る振付はなかなか難しいのではないかと感じたので、
その振付を自分のものにしてしまっている彼女は凄いなあと心から思いました。
この作品では「アダムとイヴの物語」が大きく取り上げられています。
というのは、ベネディクトがエコホテルとして「EDEN」を建てることを発表し、
その「EDEN」のショーが”アダムとイヴ”がテーマになっているということが大きいです。
そのショーで看板スター(エコプリンセス)に選ばれたのがテスという流れになっています。
(今回テスの設定が美術の方面で働く女性(映画)からショーガールに変わっています。)
そのエコホテル建設がベネディクトの「悪党」ぷりを明らかにしています。
映画では結構本性がずっと最後まで隠されたままだったところもありますが、
舞台ではすぐに明らかになります。映画のような「謎めいた存在」ではありません。
また、そのエコホテルのショーをめぐってベネディクトがオーナーを勤めるPARADISO(ホテル)の
看板マジック・ショースターのダイアナがテスに対して嫉妬することから、
「女の闘い」(とダイアナが勝手に思っているだけで一方的なものです)としての物語もあります。

音楽も太田先生によるオリジナルです。太田先生の曲が好きな私は
作品のテーマにピッタリとはまっている曲の数々に心から素敵だなあと思いました。

そういうわけでダニー(柚希さん)やテス(夢咲さん)以外にもベネディクトが目立っています。
そんなベネディクトさんを紅さんが演じているせいか、
ベネディクトを語りだしたら止まらなくなります。
ですので、ベネディクト語りの記事を新たに作成しようかと思います。

ダニー・オーシャン役の柚希礼音さんはかっこよかったです。
トップとして組を率いる立場とダニーがオーシャンズ11のリーダーであることがうまくリンクして
チームをまとめているだけではなくメンバーを冷静に見つめバックアップしているということが
すごくよく分かりました。余裕を感じられる大人の魅力があって、素敵でした。
テスが「チョイ悪男」に魅了されるのも無理はない、と心から実感しましたよ。
(歌詞にダニーのことを「チョイ悪男」とテスが評している曲があるんですよ。)

テス役の夢咲ねねさんは綺麗でした。
今のトップ娘役でテスを演じられるのは彼女だけなんじゃないかな?と思いました。
バービー人形顔負けのヴィジュアルでした、本当に眼福でした。
フィナーレのデュエットダンスでの奇抜な衣裳を着こなせるのは彼女ぐらいでしょう。
エコプリンセス(笑)に選ばれたのはヴィジュアルだわ、と思ってしまったほどでした。

ラスティー役の涼紫央さんはベネディクトからの圧力で潰されかかっているクラブの
オーナーの孫娘(ポーラ)を恋人にもつというエピソードが新たに加えられたことで、
ただ「ダニーの相棒」であるということだけではなく恋人を心から想う優しい男なんだな
ということが伝わってきて、頼れるサブリーダーでした。
金庫破りの作戦の1つとして登場した倒れたソールを診る医師として登場してきたときは
本当に心から笑いました。あの面白さは日本ならではかもしれませんけどね。
あの場面は忘れられません、本当に。

フランク役の夢乃聖夏さんは本人比ではありますが歌が上手になっておられましたね。
『ノバボサノバ』で鍛えられた効果が現れたのかなあと思います。

ライナス役の真風涼帆さんはオーシャンズ11のメンバーの中で1番若いということが
役柄との共通点になっていましたが、そこをうまく生かせたのではないでしょうか。
映画と同様、金庫破りでダニーと2人危険な役割を果たしますからかなり目立っていました。
賭博委員会に扮しているときは結構大げさな演技をしていたので、
そこが『めぐり会いは再び』のエルモクラートと重なって見えました。
…しかし、かっちりとしたサラリーマン姿だったのでエルモクラートと同一の印象は
受けませんでしたけどね。とにかく、彼女の頑張りがよく伝わってきました!
今後の彼女に期待しています。

映画と同じ方法で金庫を破ることを舞台では実現不可能だったらしく、
作戦が一部映画とは異なります。それにより登場人物の設定もいくつか変化しています。
まずリビングストン・ビル(美弥るりかさん)が結構はじけた「ハッカー」になってしまっていたこと。
警察につかまりかけていたところをラスティーに助けてもらうので、
映画版バシャー・ターを感じさせました。
そんなバシャー・ター(壱城あずささん)はベネディクトによって結果的にマジシャン界を
追い出された天才マジシャンというふうに設定が変わっていました。
結構心に熱いものを持っているクールな男性(なのかな?)ということになっているので、
映画のバシャー・ターとはかけ離れています。
そんなバシャー・ターが指導する雑技団のジャグラーとしてイエン(鶴美舞夕さん)が登場します。
モロイ兄弟(如月蓮さん/天寿光希さん)は映像加工のプロということになっています。
ホテルのセキュリティー画面を変えるときに大きな役目を果たしています。
ロシアの大富豪に扮したソールのボディーガードを務めたりもしますが。
(ボーイに扮するのはバシャーということに変更されています。)
ソール(未沙のえるさん)やルーベン(美城れんさん)の設定は変わっていませんが、
ルーベンが金庫破りのときに扮装して作戦そのものに参加しているというところは
ちょっと映画と異なるかもしれませんね。
本当にオーシャンズ11のメンバーは個性的で1人1人目立っていたと思います。
ソールを演じた未沙さんが今公演で退団なさるのは非常に残念ですが、
オーシャンズ11のメンバーとして大活躍なさっているので、
彼女の舞台姿を目に焼きつけることはできたような気がします。

白華れみさんが演じた「ダイアナ」は『コパカバーナ』のコンチータを思い起こさせる役柄でした。
(ショーの「QUEEN」と呼ばれていることから「クイーン・ダイアナ」とも呼ばれています。)
しかし、コンチータよりも仕事への情熱や自分の立場を守っていきたいという執念を感じました。
メイクや鬘にも白華さんのこだわりを感じさせ、「さすがだわ」と思いました。
本当に彼女は客席の期待を裏切らない実力派の娘役ですね、凄いです。

PARADISOのコーラス隊?のような存在として登場する「3ジュエルズ」と
(「3ジュエルズ」はルビー(花愛瑞穂さん)、サファイア(音花ゆりさん)、エメラルド(白妙なつさん))
MCのマイク(礼真琴さん)が凄く目立っていましたね。
ストーリーテラーとしての役割(歌)もあったのも大きかったのかなと思います。
ジュエルズの3人は髪型を1人1人変えたり鬘(?)にそれぞれの宝石の色をメッシュで入れたり
こだわっていらっしゃるんだなということがよく伝わってきました。
マイクもすごくはじけていましたね、ハイテンションのMCでした。(髪型も凝っていましたよ。)

ラスティーの恋人であるポーラ(音波みのりさん)や5年前のテス(早乙女わかばさん)も
目立っていました。映画を最初見たとき娘役をどうするんだろうと思っていましたが、
そういうことは杞憂だったようですね。娘役ファンとして有難かったです。
他にもベネディクトの秘書ベス(優香りこさん)も活躍なさっていましたよ。

目立つといえば、ベネディクトのボディーガード役ブルーザー(汐月しゅうさん)も。
髪色が赤かったこともありますし、ベネディクトチームの中で1人だけラフな格好だったことも
大きいです。『メイちゃんの執事』での印象が強い私としては新たな汐月さんを観られて
嬉しい発見をしたかのような気持ちになりました。すごくよかったです。

さて、エコホテルに関わるNPO団体「EVER GREEN」の委員長夫妻こと
ハリー・ウッズ(美稀千種さん)やアン・ウッズ(毬乃ゆいさん)も
作品の中で大きな役割を果たしていらっしゃいますが、役不足かな?と思うところも。
結構出番が少なかったことも大きいでしょうし上演時間の関係上で難しかったでしょうし、
仕方のない部分は大きいでしょうが、テスが学生時代関わったNPO団体がエコホテル建設に
関わるためショーガールのオーディションに参加したという理由付けのために
わざわざ役をつくったのかなという気もしないではないです。
ベネディクトの「悪党」を知らしめるためでもあったかもしれませんが、
「EVER GREEN」の(舞台における)存在意義とは何だろう?考えてしまいました。

こんな感じでしょうか。
今日はここまでにさせていただきます。
次回は紅さんが演じておられるベネディクト語りをさせていただきます。

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