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『Mao's Last Dancer』 [映画のススメ]


毛沢東のバレエダンサー

毛沢東のバレエダンサー

  • 作者: リー・ツンシン
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2009/08/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



今日は『小さな村の小さなダンサー』を鑑賞してきました。
これは『毛沢東のバレエダンサー』という伝記を映画化したものです。
リー・ツンシンという中国人がダンサーとして中国人として悩みながら生きていく映画で、
原作にできるだけ忠実に作られています。
主人公(大人)を演じるのが英国バーミンガム・ロイヤル・バレエのツァオ・チーさんということで、
バレエ界では結構前から話題になっていたと思います。
私も以前からずっと行きたかったのですが、いつの間にか今日という日を迎えていました。
地元ではもう上映が終わるという雰囲気だったので、なんとか映画館で観られてよかったです。

ですから、今日は『小さな村の小さなダンサー』の感想文を書いていきたいと思います。



文化大革命のさなか、毛沢東夫人である江青が始めた文化政策によって、
リー・ツンシンは中国山東省の小さな村から北京舞踏学院に入学することになる。
そこで彼はチェン先生によって踊ることが生きがいと感じられるようになっていった。
しかし、チェン先生は芸術志向の考え方だったため、学院を去らざるをえなくなってしまった。
それでも彼は先生からもらったバリシニコフのビデオを見て、ひたすら努力する。
そして、彼は運よくヒューストンバレエ団へ3ヶ月間研修生として渡ることになった。
アメリカではダンサーとしての名声も得ただけではなく大事な恋人もできた。
だから帰国直前彼は大きな決断を下すー。

というようなあらすじですが、全て実話なんですよね。(ここから先はネタばれ注意報です!)

私は文化大革命についてあまり何も知らず、
毛沢東の統治する中国について初めて見聞きすることもいくつかありました。
江青がバレエを奨励したのもそのバレエを共和主義の広告塔として利用しようとしたのも、
私にとって非常に驚くべき事柄でした。「こんなことがあったのか!」ーまさにそんな感じです。
私がフランスに留学していたとき、語学学校の授業で、
「最も印象的な歴史上の出来事2つ挙げよ」という問いに答えるという時間がありました。
そのときに中国人留学生たちの1人は「日中戦争」と「文化大革命」を挙げていました。
それだけ、中国人にとって「文化大革命」は忘れられないものなのでしょうね。
私はそこまで中国の歴史に詳しいわけではないので、勉強になりました。

英国バーミンガムロイヤルバレエ団員のツァオ・チー(リー・ツンシン役)は
映画がクランクインする前に演技の勉強をするために演劇学校のようなところに
短い期間(2週間~4週間?)通っていたということを耳にしていましたが、本当によかったです。
やはり同じ中国人として共感できるところが多くあったからでしょうか。
踊りに関してはとても素晴らしかったです。撮影当時、腰を悪くしていたようですが、
そのことをまったく感じさせない素晴らしいパフォーマンスでした。彼の踊りはいいですね。
バーミンガムロイヤルバレエが2008年初めに来日したときに彼の踊りを実際に観たのですが、
今のバーミンガムに必要なダンサーなんだろうなということがよく伝わってきたことを覚えています。
バーミンガムロイヤルバレエが来年日本でまた公演してくれるということで、
彼もぜひ来日してくれたらいいなあと思います。

リー・ツンシンの青年時代(北京時代)を演じたのはグオ・チャンウという中国人男性で、
彼もオーストラリアバレエ団で活躍するバレエダンサーなんですよね。
本当にこの映画はバレエダンサーなしでは作れなかったものだと心から思います。

リー・ツンシンの少年時代も中国の体操学校に在籍中のホアン・ウェルビンくんという、
一般的な俳優とは全く異なる男の子でした。
北京舞踏学院の入学審査で私たちに見せてくれた柔軟な体には驚かされました。。。
本当に凄かったです~だからこそ、中国も「選ばれし者」にしか存在していないバレエという時代が
あったのだなあということを学ぶことが出来たような気がします。

蛇足ですが、リー・ツンシンが観たバリシニコフは『ドンキホーテ』のバジルを踊っていました。
その映像を見た私は、『愛と喝采の日々』という映画を思い出しました。
私にとってバレエ映画とは「コレ」なんですよね。ですから、ちょっと懐かしくなりました。


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リーの亡命騒ぎは共産主義と資本主義の間にあった大きな壁を感じさせました。
どうして「亡命」せざるをえなくなるのか。ーそのような疑問が沸々と沸いてきました。
リー以外にも亡命した有名なダンサーがたくさんいることを知っているのもあって、
「表現の自由」という言葉の重さを改めて感じました。

主人公の愛したエリザベスにはアマンダ・シェルが。
彼女は『センターステージ』(映画)でヒロインをやっていますが、
ダンサーとしてサンフランシスコで踊っているそうです。…しかし、今回踊る場面がほぼなかったです。
エリザベスはヒューストンで踊ることのできるほどの才能を持っていないけれども、
リーを愛している…という女性で、彼の亡命する決意を強くさせた人物でもあります。
しかし、亡命後ヒューストンでソリストとして契約した彼と一緒に居続けることは
彼女の夢であるダンサーになることを諦めざるをえないということでもありました。
自分の夢をとるか恋愛をとるかーこの選択はとても大きいものですよね。
ですから、彼女の決意は本当に切なくなりました。
アマンダさんは『センターステージ』の出演後いくつかのドラマに登場した経験があったのもあってか、
本当に役者としての華も咲かせているなあと思いました。

アメリカでの主人公の後見人ともいえるヒューストンバレエ団芸術監督のベン・スティーブソンは
ブルース・グリーンウッドさんが演じていました。
文化大革命が終わったあと中国にやってきた彼はリーに目を留め、
彼のアメリカ行きを願っているという人物ですが、彼の亡命騒ぎには反対していましたね。
中国との友好的な関係を保ちたかったのかなと思いますが、
亡命したリーにソリストとしてヒューストンバレエ団と契約しないかと持ちかけるところは
彼の亡命沙汰で色々と感じることがあったんだろうなと考えています。
アメリカ人らしいフランクな雰囲気が印象的な芸術監督さんでした。

ダンサーとして北京で彼を支えたチェン先生は(誰が演じていたかわかりませんけれども、)
人間味あふれる優しいだけでなくバレエという芸術を心から敬愛しているということが
よく伝わってきました。バレエというのは多くの芸術を愛する者のおかげで続いているのだな、
ということを感じましたね。リーへの思いやりには心にグッとくるものがありました。
最後に彼が登場してくるところは「ああ、よかった」と心から喜びましたね。

リーの両親も本当に優しく、息子を心から愛しているのだなということが伝わりました。
このような父母だからこそリーが常に彼らのために踊っているのだということを
納得させるものがありました。理想とする親の姿そのものだったと思います。
彼らがリー主演の『春の祭典』を観ているシーンは本当に感動的なシーンでした。

オーストラリアバレエ団のマドレーヌ・イーストーはローリという女性ダンサーを演じていましたが、
彼女がここまで重要な役に扮しているという事実に驚きました。
ただの踊り要員なのかな?と思っていただけに「おおー!」と彼女の活躍に凄いなと思いました。
ローリはプリンシパルとして踊っていましたが、後にその座を降りることになる女性で、
リーの亡命したいという気持ちを尊重した女性の1人でもありました。
そんな彼女はリーにとって心の支えになっていたような気がします。
彼が亡命してからも頑張ることができたのも彼女の存在があったからでしょうね。
マドレーヌ・イーストーは今でもオーストラリアバレエ団でプリンシパルとして活躍していますから、
そんな彼女だからこそ表現できるものが何かは分からないものの、伝わってきました。

自分自身の踊りを映像として一生残すことができるバレエダンサーは、
バレエの映像がたくさん増えてきている人がいるものの、とても幸せな人たちだと思います。
しかし、バリシニコフやツァオ・チーのように映画で登場するダンサーを演じながら、
その役柄として踊ることのできる人たちはそんなに多くいません。
ですから、彼らのことが羨ましいと考える人たちがいるのではないでしょうか。
私は面白いバレエ映画を観る機会が増えればいいなと願っている人ですので、
バレエダンサーが何人も出演する映画の登場を楽しみに待っていようと思います。
(山岸さんの『アラベスク』をいつかロシアダンサーで映画化してもらうのが私の夢です(うふふ)。)

リーの亡命を応援するフォスター弁護士には『ツイン・ピークス』で有名なカイル・マクラクランが
扮していて…非常にかっこいい弁護士でした。いかにも仕事ができそうな雰囲気がありましたね。
『ツイン・ピークス』を観なくては!と思いました。今度DVDをレンタルしてくるつもりです(笑)。
あのような弁護士はなかなかいないよなあと思いつつも、
心の中で「法学部に行きたい…未来の弁護士達と友人になりたい…」という面白い願望を
持ち始めてしまいそうです(苦笑)。本当にマクラクランのファンには是非観てほしい映画です。

リーの再婚相手であるヒューストンバレエ団プリンシパルのメアリーには
香港バレエ団で活躍するカミラ・ヴァーゴディスが扮していました。綺麗なダンサーでした~。
本当に美しい踊りをする人だなあと思いきや、『春の祭典』ではまた違った彼女を知ったりして、
このようなダンサーが香港にはいたのかという驚きがありました。
ですから、パンフレットのキャスト紹介に彼女の名前がなかったのは残念でした。

他にもウッドロー・トンプソン(判事)なども登場して、豪華な映画となっています。

この映画に1つだけ疑問を言わせていただけるのなら、
映画の舞台となった時代にマーフィー版『白鳥の湖』のような作品があったのか?
と言わせていただきます。この『白鳥の湖』は誰もが知っているストーリーとは異なるのです。
ですから、「うーむ?」と思いました。
他にも、リーのご両親が来る舞台に『春の祭典』はどうなんだろうか?と感じました。
もっと古典的なものの方がよかったような気もします~。


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最後に一言。
この映画は「実話に基づいています」!
リー・ツンシンの半生は小説よりもドラマティックで感動的です。
絶対「観に来てよかった」と思える映画だと心から言えます。
「好きなことに対する情熱」や「夢を持って生きることの大切さ」を、
私はこの映画で改めて学ばせてもらったような気がします。本当に鑑賞してよかったです。
また機会があれば原作の方も読んでみたいなと思っています。

ではでは~!

<追記>Dance Cubeにツァオ・チーさんのインタビューが載っていましたので、転載しておきます。

映画『小さな村の小さなダンサー』に主演した バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル、ツァオ・チーにインタビュー

----『小さな村の小さなダンサー』はたいへんおもしろく拝見しました。この映画はどこでロケをなさったのですか。

(ツァオ・チー)中国のシーンは全部北京です。あとはクルーの一部がヒューストンで撮って、それからシドニーで多くのシーンを撮影しました。

----そうすると、グレアム・マーフィーの作品は何作か踊られたのですか。

(ツァオ・チー)そうです。今回は、オーストラリア・バレエ団やグレアム・マーフィーとも密に仕事をすることができました。マーフィーは私にとって作品に対する解釈が近い方だと思いました。『春の祭典』なども男性のパートが非常にパワフルでアスレチック、肉体を活かす振付にしたい、ということで共通するものを感じました。
それから「君はもう私の『白鳥の湖』のほとんどの部分をを踊ったんだから、今度の日本公演で全幕踊ったらどうか」というようなジョークを交えたリラックスした話になったりしました。いつかまた一緒に仕事をしたいと思っています。

----映画に登場していた『白鳥の湖』はどのように撮影されたのですか。

(ツァオ・チー)映像として使うのは3分くらいだったので、『白鳥の湖』のいいところ撮りをして見せています。舞台で全幕を観るとまた振付が違っている部分もあります。

----もちろん、サムソヴァ、ライト版『白鳥の湖』も主演されているわけですが、今回のように、現代の服装でチェイコフスキーのメロディを踊られるというのはどういう気分ですか。

ツァオ・チー)現代の服装だとパンツですから、足がカバーされているというだけで気持ちの上で自由度は増します。タイツを履くとやっぱりクラシック・バレエ向きの姿勢になるんですが、シャツとズボンだと異なったものが自然に姿勢に表れます。逆に、普通の現代的な格好でクラシックのポーズをとると不思議な感じがすると思います。
バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(BRB)のダンサーとしては、モダンなスタイルにも慣れていますから、特に難しいことはありませんでした。

----オーストラリア・バレエ団の来日公演にゲスト出演される、というようなことがあれば日本のファンも喜ぶと思います。

(ツァオ・チー)今回の日本ツアーは時間的に無理かもしれませんが、映画に出演したことで、オーストラリア・バレエ団のディレクターのデヴィッド・マッカリスターやダンサーたちとも親しくなれたので、別の公演でゲストのような形で出演しようという話は進行しています。彼らと長い時間一緒に仕事をして仲良くなれたので、もちろんBRBは私のホームですけれど、二つ目のホームができたような気持ちです。

----映画には『春の祭典』の舞台もでてきましたが、あの火が走るシーンもあそこだけを撮影したのですか。

(ツァオ・チー)『春の祭典』は全部踊られていますが、まず、ダンスのパートを2日間で撮影してから、それをテレビのモニターで放映しながら観客の反応を撮りました。

----そうですか、あのシーンはたいへん感動的で、母親役のジョアン・チェンが素晴らしかった。 映画の主人公のリー・ツンシンの実際の舞台をご覧になったことはありますか。
(ツァオ・チー)彼は私の17歳年上になるので残念ながら、生の舞台を観たことがありません。ヒューストン・バレエ団には『春の祭典』などの映像が残っていましたので、それを観て動き方などを研究することはできました。

----リー・ツンシンの中国時代のバレエ教師は、あなたのお父さんだと聞いたのですが。

(ツァオ・チー)そうです。彼が北京舞踏学院に行ったのは11歳のころですが、男女ペアの若い先生が一人一人の生徒の面倒をみる、というシステムになっていました。父がバレエ教師で母も音楽を教えていて、リー・ツンシンの担当でした。もちろんバレエも教えたし、普段の生活も監督する立場でした。

----では、あなたも彼がヒューストン・バレエ団に亡命した事件はご存知でしたか。

(ツァオ・チー)その当時、私はまだ幼かったので細かいことまでは知りませんでしたが、彼はいいダンサーでしたし、北京舞踏学院からの最初の亡命者だったのでそのことは知っていました。

----映画を観て驚いたのですが、中国は革命などの大きな混乱を経験したのにも関わらず、バレエに関して非常に正確な知識を失わず、しっかりとしたバレエ教育を行っていたということです。そうした知識はロシアからもたらされたのでしょうか。

(ツァオ・チー)そうですね、特に70年代にはロシアのバレエをじっくりと学んだ先生が多かったと思います。ロシアの教師が中国に来て、よくマスター・クラスを行ったりしていました。私たちの時代にはそういうことはほとんどなかったので、当時はやはりロシア色が強かったのだと思います。

----映画ではバリシニコフが踊っているビデオを、宝物のように大切に扱っているシーンもありました。バリシニコフはヴァルナ国際バレエコンクールの金賞を受賞していますが、あなたもヴァルナでゴールドメダルを受賞しました。

(ツァオ・チー)そうですね、やはり、かつての偉大なダンサーたちが受賞しているコンクールなので私も参加しました。若いダンサーとして先陣を切るつもりでした。

----それからBRBを選ばれたわけですか。

(ツァオ・チー)そうですね、当時、私は17歳でしたが、チューリッヒ・バレエ団、ドイツ・ナショナル・バレエ団とBRBからそれぞれオファーをいただきました。ロイヤル・バレエ・スクールに学んでいてやっと英国の生活にも慣れたところだったので、これからまた新しい国に行くのは負担が大きいと思って、BRBに決めました。またBRBは、カンパニーとしてはロイヤル・バレエ団よりも小規模なので、よりチャンスは与えられるだろう、という気持ちはありました。たとえロイヤル・バレエ団に入れたとしても、最初の数年間は何もできなかったでしょう。私はあまり忍耐強い方ではないので、やろうと思ったらすぐにやらないと気が済まないのです。BRBだったら、そんなに大きな役でなくてもいいけれども、すぐに舞台に立てるのではないか、と思いました

----BRBはビントレー芸術監督の下、『アーサー王』や『シラノ』『美女と野獣』そのほかにもいろいろと創作バレエの大作をどんどん創っていて、とても活発なバレエ団だと思うのですが、やはり、ダンサーとしては大変ではないですか。

(ツァオ・チー)確かに疲れます。ただ、私はダンサーとしては『白鳥の湖』や『眠れる森の美女』などの古典作品が好きです。 BRBのいいところは、そういった創作作品と同時に、必ず古典作品もプログラムに入れていることです。いくら一生懸命やっていてもどちらかに偏ってしまうと、ダンサーは必ず飽きてしまいます。けれどもスタイルが変化することによって、ダンサーのほうも常にフレッシュな気持ちになって、緊張感を持って努力することができます。その点は私にとっては非常に良い環境です。もちろん『白鳥の湖』や『眠れる森の美女』は好きですが、それだけを踊っている自分というのは、正直に言って考えられません。BRBのようにスイッチしていくという方法が、メンタル面でも疲弊しないやり方だと思います。

----ダンサーのモチベーションとしてもそうですね。

(ツァオ・チー)そうです。やはり同じことを続けているとどうしてもモチベーションが弱くなってしまいます。ダンサーは常に新しいスタイルに挑戦することで、どんどん自分を成長させていくべきです。

----ビントレーの作品で踊って楽しい役、好きな役は何ですか。

(ツァオ・チー)ビントレーの作品はどれもダンサーに対する身体的要求が高いので、正直なところ踊り易い作品はひとつもありません。その中では比較的要求度が高くないもので『ペンギン・カフェ』の縞馬、音楽もファンキーですしね。それから『ホブソンズ・チョイス』の主人公の友人役です。これはブリティッシュ・コメディ色が強いので自分には合わないと思っていたら、キャスティングされたので、思わず「本気ですか」と言ってしまったくらいです。でも踊ってみたらコメディだったこともあってか、とても楽しかったのです。 それから、『エドワード II 世』の主人公の愛人役ギャベストン(男)は、演技が重要だし、闘いのシーンもあるし、ダンスもおもしろかった。1995年にシュツットガルト・バレエ団で初演した作品でしたが、BRBで上演する時にビントレーが私をキャスティングした役です。

----ビントレー作品のコメディや歴史的な題材を扱ったものはまだ日本では上演されたことがないので、ぜひ観たいと思っています。

(ツァオ・チー)そうですね、ビントレーの作品には、英国風なユーモアとかストーリーが色濃く反映されています。ただ、そういう作品に馴染んでいないと分かりにくいということもあると思います。実際、私もこうしたユーモアをおもしろいな、と思い、ビントレー・スタイルが笑えるようになるまでには少し時間がかかりましたから。

----2011年にはBRBの来日公演が予定されています。日本人ダンサー、佐久間奈緒とパートナーを組むことが多いと思いますが、彼女はどんなダンサーですか。

(ツァオ・チー)佐久間奈緒はとにかく努力家でがんばり屋です。本当にたくさん一緒に踊ってきましたので、とてもよく理解し合えているパートナーです。踊り易いですし、どんな作品でも問題なく組めます。レギュラーな仕事で、良いパートナーに恵まれているということは、ほんとうにラッキーだと思います。

----多分、来日公演では『眠れる森の美女』を踊られることになると思いますが、日本のファンに見所を教えてください。

(ツァオ・チー)映画『小さな村の小さなダンサー』をぜひ観ていただきたいと思います。そうすると舞台ではまたフレッシュなツァオ・チーをお目にかけることができると思います。映画だといろんな別の準備とかありますし、短い時間しかお目にかけられないので、踊りだけの舞台を観ていただいて、さらにいっそう楽しんでいただけたら、たいへん嬉しいです。

----本日はありがとうございました。映画も公開されますし、舞台も楽しみにしております。

●『小さな村の小さなダンサー』
8月28日(土)よりBunkamura ル・シネマ、シネスイッチ銀座、他 全国ロードショー
http://chiisanadancer.com/

●英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 2011年日本公演
●公演日程:2011年5月下旬
●上演作品
ピーター・ライト版「眠れる森の美女」
フレデリック・アシュトン振付「真夏の夜の夢」/「ダフニスとクロエ」
●前売開始:2010年12月上旬(予定)

※ビントレー氏とはバーミンガム&新国立劇場の芸術監督です。
コメント(2) 

コメント 2

ちょんちょん

面白そうですね。
特に小さな村の小さなダンサーは、かなり見てみたいかもと思いました。
最近宝塚だけではなく、映画も全然見に行ってないので、ひさびさに見に行く予定をたてようかと思います。
北京舞踏学院は、中国の中でも有名な学校なので、そこの出身というのは、かなりの楽しみです。
良さそうな映画を沢山、紹介していただき、ありがとうございます。
by ちょんちょん (2010-09-27 10:45) 

marine

私は中国の文化大革命という言葉を歴史の重要な言葉として覚えていますが、
どのようなことが行われたかというところまで知らなかったので、良い勉強になりました。
北京舞踏学院は私も何度か耳にした名前ですが、
国際的なコンクールでその学校の生徒が出場しているのが結構大きいなと思います。
もう映画は公開終了のような気がしますけれど、非常に素敵な作品でした。
きっとちょんちょんさんの気に入る内容だと信じています。
by marine (2010-09-29 06:03) 

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