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本の数々… [本のススメ]

ご無沙汰しております。
もう1ヶ月近く更新していなかったようで、(やってしまいました!)
このブログは幽霊部員ならぬ幽霊管理人によるものと思われた方も数多くいらっしゃるかも
しれません。…確かに、私が読者の立場ならそう思うでしょう。
最近はバイトと大学に時間を追われていましたのでなかなかパソコンの前に座れず、
ツィッターでたまに呟くのみとなっておりました。
今日から冬休みが始まったこともあり、卒論の合間に更新できたらいいなあと思います。


今日はこの1ヶ月間読んできた本の数々を紹介したいなあと思います。

まず、読んだ本を羅列しますね。(敬称略)
・『ブラックペアン1988』(海堂尊)
・『ジーン・ワルツ』(海堂尊)
・『ひかりの剣』(海堂尊)
・『イノセントゲリラの祝祭』(海堂尊)
・『アリアドネの弾丸』(海堂尊)
・『トワイライト』シリーズ
・『ウィーンの密使~フランス革命秘話~』(藤本ひとみ)
・『皇妃エリザベート』(藤本ひとみ)
・『黄金仮面』(江戸川乱歩)
・『ネバーランド』(恩田陸)
・『六番目の小夜子』(恩田陸)
・『獣の奏者~探求編~&~完結編~&~外伝~』(上橋菜穂子)
・『心霊探偵 八雲1』(神永学)
・『怪盗探偵 山猫』(神永学)
・『いちご同盟』(三田誠広)
・『春のソナタ』(三田誠広)
・『永遠の放課後』(三田誠広)
・『ぼくは勉強ができない』(山田詠美)
他にもライトノベル(コバルト文庫)や漫画も少々…。
そして現在は『球形の荒野』(松本清張)を読んでいます。

この中でも三田さんの青春三部作や『ぼくは勉強ができない』は再読ですし、
『獣の奏者』は1,2巻のみですが既に感想を綴ってあるはずです。
というわけで、これらの本は除くということが前提の上で、
私が紹介したいなあと思う本をこれからいくつか挙げていきたいなあと思います。
今回感想を書かなかった本でも気になるものがございましたら、
私に遠慮なく言ってくださいませ。次回にでも詳細に感想を述べさせていただきます。

『ウィーンの密使~フランス革命秘話~』


ウィーンの密使―フランス革命秘話 (講談社文庫)

ウィーンの密使―フランス革命秘話 (講談社文庫)

  • 作者: 藤本 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 文庫



藤本さんの「もし」という仮定で生み出された歴史小説シリーズです。

今回はバスティーユ襲撃後のフランスにハプスブルクからの命令でやってきた主人公、
ルーカス・エリギウス・フォン・ローゼンベルクが、彼の義弟らとともに、
ブルボン王朝を精一杯守ろうと努力する物語です。
ルーカスはマリーアントワネットにフランス王妃としての生き方を諭すためにも
ハプスブルクから来たわけですが、その目的が達成されるのか…というところも見どころです。
史実を見れば、その結果は「失敗に終わった」ということがわかっているので、
ラストをほのめかすような感想も書いていきますね。

私はフランスの歴史とハプスブルク家に関心を抱いている人間ですので、
その2つが組み合わさっている『ウィーンの密使』を興味深く読ませていただきました。
主人公のルーカスはフランス人の父とオーストリア人の母をもち、
幼少期にアントワネットと一緒に楽しく過ごしていたという軍人です。
彼はゲルマン民族を感じさせる人物ではあるが、フランス人らしいユーモアさも持ち合わせた、
プレイボーイともいわれている美男子です。
そんな彼はフランスで義兄弟のアンリと出会い、彼と共にブルボン王朝を守るために奮闘します。
当時既にハプスブルク家ではモンテスキューやルソーらの啓蒙思想を取り入れた政治を行い、
それがうまくいっていたので、彼は啓蒙思想を利用することで市民の怒りを抑えようとします。
この小説ではブルボン王朝が啓蒙思想に目もくれず絶対王政にしがみついていたことが
王朝が滅びた原因だといっています。確かにルーカスの理想郷に達していれば、
王族や貴族が処刑されたりといった事態は避けられたような気がします。
王位のあり方を真剣に考えることなくルイ14世時代の栄光にしがみついていたのは
事実なんでしょうが。また、国王の精神的な弱さや王妃の高慢さ、フェルセンの盲目的な愛も
フランス革命に大きな影響を与えたのも本当のことでしょう。
「王妃の再教育」という使命をもったルーカスとフェルセンのアントワネットへの愛も
対照的に描かれています。この物語ではフェルセンはアントワネットしか見えていない男で、
ルーカスのほうが視野を広げて革命や王家の状況をみていたという描かれ方でした。
そのため、フェルセンがルーカスに比べると幼く見えて危なっかしいと思ってしまいました。
結局ルーカスの意見を退けてアントワネットはフェルセンの「逃亡案」に従いましたが。
(最後にルーカスが宮殿を去るときにフェルセンにアントワネットが王妃なのだから、
馬車や荷物について口出ししたのが、結果的に逃亡を失敗させた原因になったのが面白い!)
(ここから分かるとおりルーカスは国王一家のヴァレンヌ逃亡前にフランスを去ります。)
ルーカスが凄いなあと思うのは彼の予測がそのまま将来現実になるというところだと思います。
ロベスピエールの話を聞いて彼が将来的にフランスの政治を動かすだろうと考えたり、
(さすがにそれが恐怖政治であったとは思わないだろうけども)
フランスの王権が消失することを予感し、国王一家が生き残る方法を模索したりなど、
ルーカスには物事を遠くまで見る力に長けているなあと感心しました。
ルーカスという人物は本当にかっこいいです。
ロベスピエールへの尊敬に似た思いを打ち消してまでオーストリア貴族としての誇りを貫く姿に
ダンディズムを感じてしまいます。また、マリーアントワネットへの愛に気づいても、
自らのミッションのために奔放している彼は勇ましかったです。
だからこそメリクールは彼を愛したんだろうなと思います。
メリクールは革命側の人間ですがルーカスのことが好きな女性です。
そんな彼女の気持ちはよく分かります。
武士道に似た男らしいストイックな姿勢でたくさんの問題を対処しようとする姿は本当に素敵ですもの。
義弟であるアンリにもそのストイックさは受け継がれていると思います。
王家が生き残ることそして王家を死守することを自らの使命だと思っている彼には中性的な美が
あるように思えました。(ルーカスは男性的な美の持ち主なんじゃないかなあ。)
ルーカスやアンリの下で働く執事セレスタンも愛嬌を感じてしまうため好きでした。
この小説はフランス革命の表舞台で活躍したラ・ファイエットやダントン、ミラボー、ロベスピエールなど、
ブルジョワの人々もたくさん登場します。ですから、フランス革命を勉強しなおすいい機会にもなりました。

『ネバーランド』


ネバーランド (集英社文庫)

ネバーランド (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/05/20
  • メディア: 文庫



恩田陸さんの学園物の小説です。
美国(よしくに)や寛司、光浩、統(おさむ)の4人が誰もいない寮で冬休みの間一緒に暮らす。
そのときに始めたゲームが4人をそれぞれの過去を見つめなおすよう仕向けていく…といった内容
だと思います。(本のあらすじがどんな感じだったかは忘れてしまいました。)
<驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフティ>という謳い文句らしいですが。
4人それぞれとても大きい心の傷をもっており、そういうものと向き合い格闘するということが
青春であるとはいえない何かを私の心に残して言ったような気がします。心がぎゅっとしてしまいました。
この本から学んだというか感じたことは「悩む」という行為こそが「青春」なのだということ、ですね。
またノスタルジーのようなものを感じました。
私自身が既に大学を卒業しようとする状態に身を置いているからなのかな?…と思いますが、
キラキラとしたダイヤモンドのような輝きを放っている彼らが羨ましかったです。
「男子高校生の青春」というものを描いているんだ!と心に言い聞かせながらでしたので、
そのことにあまり気がとられることなく読み進めることができましたけれど。
この小説を読んだ人たちは誰もが自分の高校時代を思い出すんじゃないかなあと思います。
私もいくつかの場面で自分の思い出を振り返りました。
つらい思い出も懐かしい思い出も全て改めて振り返ることで、
登場人物の4人と同じように見つめなおした過去を懐かしく感じられるようになれる小説で
あるかのような気がします。そういう意味での「ノスタルジー」でもあります。
『ネバーランド』を読んで心が本当に温かくなりました。
そういう温かさを感じられるからこそ、私は恩田陸さんの学園物が好きなんでしょう。
ちなみに私は美国くんが好きな登場人物でした。
主人公だからといった理由ではなく彼の心や考えに共感できたからです。

『ジーン・ワルツ』


ジーン・ワルツ (新潮文庫)

ジーン・ワルツ (新潮文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



海堂さんは現役医師だからこそ分かる医療社会を小説で描いていらっしゃる作家さんですが、
そんな彼が今回『ジーン・ワルツ』で産婦人科の社会について問題提起しています。
…問題提起というのは私の受け取り方がそうだっただけで、
著者はそういう意図を持っていないでしょう。
「医学」がよりよい医療のために病気の治療を研究する言葉ならば、
「医療」は病人を治す言葉であるということも彼の著書で学んだはずです。
それだけいつも彼の著書からはたくさんのことを教えていただいています。
今では彼が提唱しているエーアイ(AI)についても多少の知識をもっています。
そういうことはさておき、『ジーン・ワルツ』という作品では
私の記憶にはまだ新しい言葉「女性は産む機械だ」など現代の出産に関するニュースも
取り入れられていて、この小説を読むだけで今の産婦人科がどうなっているかが
具体的には分からないもののある程度分かったような気がします。
医療費亡国論がもたらした医療の崩壊というものがここまで恐ろしいものかと思うと、
将来の医療に不安をもちます。
この小説を読んで気づいたのは「いかに五体満足で生まれてくることが奇跡なのか」ということ。
私は理系にすすんだ人間ではないから仕方の無いことかもしれませんが、
私がいかに無知であったかということを痛感させられました。
本当に子どもを産むということは神秘的なことなんだということに気づきました。
映画も公開されますし、ぜひこの物語をたくさんの人たちに知っていただきたいですね。

『心霊探偵 八雲1』


心霊探偵八雲〈1〉赤い瞳は知っている (角川文庫)

心霊探偵八雲〈1〉赤い瞳は知っている (角川文庫)

  • 作者: 神永 学
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/03/25
  • メディア: 文庫



元タカラジェンヌの羽桜しずくさんが『宝塚グラフ』で読んでいる本として紹介されていた作品です。
たまたま大学図書館に一冊だけおいてあったので「物は試しに…」という気持ちで借りました。
そして読んでみたら…あまりにも面白くてあっという間に読み終えてしまいました。
エンターティメント性が非常に高いスピリチュアル・ミステリーでした。
スピリチュアル・ミステリーといっても、きっかけはスピリチュアルであるだけで、
根本的なところは一般的なミステリーとそんなに変わらないと思いました。
どんなミステリーでも事件のきっかけは人間の憎悪や羨望のような感情・欲望ですが、
この八雲シリーズも作品の根底に同じものが流れています。
ですからスピリチュアルミステリーなんだということをあまり感じることはなかったです。
八雲さんの才能は死人の霊を視ることしかできないらしいので、
ホラーに似たようなストーリーはそんなになかったですよ…ありましたけれど(苦笑)。
先程も書いたとおり、八雲さんはただ死人の霊を視るだけで超能力者でもなんでもない大学生なので、
彼も他の有名な探偵と同じように徹底的に調べます。
(『臨場』の倉石さんがよく言っている「根こそぎ拾え」を思い出してしまいました。)
そんな八雲さんにいつも事件をもってくる晴香さんは結構危険を呼ぶ磁石のような女子大生です。
だからこそ彼女は八雲さんの側にいるのが一番安全ではないかと私は思っています。
そんな2人を陰ながらサポートするのが刑事の後藤さん。
といっても、実際は八雲さんにいつも助けてもらっているような気がするが、
彼はいつも自分の目で善悪を判断する人なので本当にいい人です。
1巻目は3編(&おまけ)が収録されていたのですが、私はその中でも「死者からの伝言」が好きでした。
『雨月物語』の「菊花の約」を思い出させるストーリーで、
晴香の親友ともいえる詩織が晴香に危機を伝えようとする姿は事件の全容が分かると、
心にぐっとくるものがありました。こういう篤い友情物語にはいつも心を動かされる私です…。

『怪盗探偵 山猫』


怪盗探偵山猫 (角川文庫)

怪盗探偵山猫 (角川文庫)

  • 作者: 神永 学
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/02/25
  • メディア: 文庫



八雲シリーズを書いていらっしゃる神永学さんの作品です。
後藤刑事がちらっと声だけ出演していたのがツボでした(笑)。
単純に言えば、怪盗である山猫が出版社に勤めるライターを巻き込んで、
自分の名を使われた殺人事件を追うという物語です。
本の解説では「平成のネズミ小僧」と山猫について表現していましたが、
大掛かりの方法でお金を盗むところなどが「日本のアルセーヌ・ルパン」だと私は思いました。
(ルパンとは違って山猫はお金しか盗みませんけれど…。)
そういうことはさておき、そのライターは勝村という名前なのですが、
彼の恩師ともいうべき人物が今回殺されたり、
そのライターの大学時代の先輩が女刑事で事件を追っていたりなど、
そういう関係もあっていつのまにか彼も事件に巻き込まれていきます。
勝村は本当にお人よしで女刑事の霧島さくらに言わせれば「ジャーナリスト向きでない人」らしい。
運動神経があまり優れているとは言いがたい彼と行動する山猫は勝村の分をカバーしても
うまく警察の目から逃れられる人物です。非常にかっこいいです。
盗みに入る前にチョコレートを食べるというところがチャーミングですが。
山猫と勝村の2人は推理小説では王道ルールになっているような凸凹コンビです。
その凸凹の2人だからこそお互いの知恵を出し合って事件を解決していけるんでしょうね。
そんな2人に対抗するのがさくらさんと関本警部補のコンビ。
こちらも正反対の2人だし最初は上手くかみ合っていないようですが最後はうまくいきます。
関本警部補は山猫をずっと追っている人物ですが、
いつも監視されているような気がすると言っています。ラストでその言葉がよく分かるので、
この「監視されている」発言は心に留めておいたほうがいいかもしれないですね。
『山猫』はスピーディーに展開されていくので本の世界に夢中になって読むことが出来ます。
そういうところがエンターティメント性を感じられますね。本当に面白いです。

今日はこんな感じで終わりましょう。
今日は冬至ですので柚子湯に入られる方が多いんでしょうね。
私はかぼちゃをたくさん食べようかなと思います。
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