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『愛するには短すぎる/ル・ポアゾン2』 [星組]

皆様、今年のバレンタインデーはどのような1日でしたか?
私は名古屋にて『愛するには短すぎる/ル・ポアゾン~愛の媚薬~2』を鑑賞してきました。
ちなみに、芝居の方での日替わりとなっているスープと衣裳について書いておきますね。
アンソニーが飲んだスープは「八丁味噌スープ」で(味噌汁だね、味噌汁!)
フレッドが仮面舞踏会で着ていた衣裳は白いアラビア風のものでした。
これで何時公演を観たか分かっていただけるかしらん?

天寿光希さんの休演には心を痛めております。
早く元気になっていただけますよう、
また次の大劇場公演には明るく楽しく舞台に立っていただけますよう、願っています。


公演感想は鑑賞後すぐに書いた日記をベースにして書いていきますので、
ところどころおかしい点があるかもしれませんが、ご了承ください。

まずは『愛するには短すぎる』について。

私はこの作品が初演からずっと好きです。
ミュージカルナンバーも好きです…特に「恋は元々アンフェア」など。
ですから今回観られて幸せでした。再演を決めてくださった劇団に感謝しています。

初演とは違うなあと思ったのは、今回の再演には「若さ」があったことでしょうか。
留学を終えて帰国したら大人にならなければならない若者達を描いた作品のように思えました。
確かにあらすじを読んだらその通りなんですよね。
バーバラもアメリカに戻ったら母の元に帰ることが決まっていますしね。
船での4日間は彼らにとって「青春」という枠組みの中にいられる最後の時間だったという印象を
受けました。フレッドやバーバラ、アンソニーがキラキラとしているように見えました。
だから、フレッドとバーバラの恋そのものが「青春」の一部であるかのようで、
『ロミオとジュリエット』や『アンナ・カレーニナ』に似たようなものを感じられました。
2作の文学作品とは違い、彼らの恋は理性をもっているものでしたけれども。

柚希礼音さんのフレッドはまさに有望視されている財閥の御曹司でした。
私のイメージしている御曹司といいますか、
自分の意思をはっきりと言うことなく周りの意見に従っている人物ということです。
未来を開拓していることに対する不安や今の状況に対する不安定な感情など、
誰もが一度は経験している精神的な問題だとは思いますが、
そのようなものと必死で向き合っている姿からバーバラとの再会で成長した姿へ
変化していく様子がしっかりと表現できていたように見えました。
バーバラへの気持ちに気づき周りが見えなくなる姿は子どものようでした。
だからこそ、最後に颯爽とたたずんでいる姿を見ると、
彼が大人になったんだなあと実感したんでしょうね。

夢咲ねねさんのバーバラ(クラウディア)も良かったです。
女性は男のロマンを追いかける男性とは違い現実主義者だという言葉を何度も耳にしてきましたが、
私はそのことを彼女のバーバラを見て思い出しました。
子どものようなフレッドに対して大人としての対応をしているバーバラといった印象を受けました。
とはいえ、彼女が不器用にしか生きられず世渡りができないようにも見え、
それが彼女の夢を挫折した理由の1つにもなっているような気もしました。
バーバラとしての魅力の1つにその不器用さも挙げられるなあと今回思いました。
彼女のそのようなところにフレッドもアンソニーも惹かれたんだろうなあ、とも。
私は夢咲さんのバーバラも初演の白羽バーバラと同じくらい好きですね。

凰稀かなめさんのアンソニーも素敵でした。
安蘭さんが初演で演じられていた役柄だから難易度の高い歌唱をやらなければならず、
大変なんだろうなあと思いながら観ていましたが、こちらも良かったです。最初のアカペラも含めて。
ひょうきんに生きているところがアンソニーの魅力の1つだと以前から考えていたのですが、
そのひょうきんさもしっかりと表現できていたのではないでしょうか。
また、フレッドとは親友同士に見えました。性格が全く異なるからこその良さを感じさせる親友でした。
柚希さんと凰稀さんの仲の良さが上手く舞台に生かされたこともあるでしょうが、
凰稀さんの成長も親友同士に見せた理由の1つではないかと思います。
『太王四神記2』の頃に比べるとかなり成長なさったなあと感激しました。
柚希さんとのコンビも最高で、この公演で彼女が異動になることがまだ信じられないですね。

夢乃聖夏さんのフランクは柄の悪いバンドマネージャーだなあと思いました。
ギャングにも身をおいているような雰囲気が感じられ、
バーバラでなくても女性なら嫌がりそうな人物でした。怖かったですね~迫力がありました。

鶴美舞夕さんのマクニールは軽い感じの男性には見えましたが、
どこか真面目なところが出ていたためか女たらしには感じられませんでしたね。
女にだまされやすい真面目なマクニール氏でした。ドリーの自殺騒動での熱演が素晴らしかったです。

早乙女わかばさんのドリーはマリリン・モンローを連想させましたが(髪型と衣裳の関係で)、
好演なさっていましたね。マクニールに近づく様子は媚びを売っているようには見えたけれど、
嫌らしく感じることがなかったです。そこが彼女の娘役としての凄いところだなあと思います。
彼女のこれからが非常に楽しみだなあとわくわくしています。
そんな彼女に希望を言うことができるのであらば、歌唱の精進をお願いしたいです。

壱城さんのエリックは船長の補佐をする役柄でしたが、ダンサーとしても活躍していましたね。
CSによれば避難訓練か何かの場面でフランクに見いだされ、
ダンサーとしても働くといったエピソードがあるようですね。
確かに避難訓練における彼女の側転はすばらしかったです。さすが、と思いました。
彼女がエリック役が演じることになったのはこの側転のせいか、と考えてしまうほどです。
ダンスのほうでもキレのある素晴らしい動きで、
他の男性ダンサー(男役ダンサーというべき?)よりも上手だったように見えました。

碧海りまさんの演じられたデイモンは後半の「体操」で体操のお兄さんを務める役柄でした。
体操のお兄さんとして、初演の大真みらんさんとは違った良さがあったなあと思いました。

デイブ役の麻央侑希さんも良かったです。
クールだけれどドリーへの秘めた思いを感じさせる演技については評価できます。
ただ、路線としての活躍がご希望でしたら、もう少しシェイプアップなさった方がいいかもしれません。
また、歌唱の方も頑張っていただきたいです。

船員のマーガレットを演じた夢妃杏瑠ちゃんがとてもかわいらしかったです。
初演では南海まりさん、その新公では羽桜しずくちゃんが演じられていたこともあり、
マーガレットは初演の頃からずっと注目していた役柄でした。
「レモネードはいかがですかあ?」と船長に聞いている姿も髪型も非常にキュートでした!
…私自身杏瑠ちゃんの隠れファンなのかもしれませんね!

十碧れいやさんが演じた船長のエッジワース役は初演とは設定が少し違うなあと思います。
今回は下級生のれいやさんが演じられるにあたって、
エリックの補佐が必要となってしまうような、どこか肝心な点を忘れてしまう船長でしたね。
愛嬌はあるんですけれど頼りないような…そんな男性になっていました。
そのような人物を彼女は好演していたと思います。

ロバート役の美城れんさんは彼女がこんなにオカマ役が似合う人とは思いませんでした。
それほどまでに熱演なさっていましたね。
ブランドン役の未沙のえるさんもよかったです。この芝居は彼女のブランドンありきだと思います。
さらにパワーアップしたブランドンが観られて嬉しかったですね。
マイケル(千寿はるさん)もクラウディア(稀鳥まりやさん)もよかったです。
稀鳥さんはクラウディア役のほかにもダンサーとして活躍なさっていましたよ。
95期のひろ香祐さんもヘンリーとして頑張っておられました。
『メイちゃん~』でも『愛するには~』でも95期が活躍しているようで、こちらまで嬉しくなりました。
天霧さんの「オコーナー、~!」という台詞ももう一度聞くことができたのも嬉しかったです。
(ドリーの自殺騒動について船長に最初に知らせるときの台詞です。)
初演と同じ役柄の人達が何人かいらっしゃったのは懐かしさもあれば喜びもありました。

次に『ル・ポアゾン2』についても。こちらは簡単に書いていきますね。

構成自体は『ル・ポアゾン』と『ナルシス・ノアール』を足して2で割ったようなものでした。
こちらは著作権や最近の星組公演にたいする考慮があったからとのことです。
(プログラムでの岡田敬二先生のコメントからです。)
両作品とも岡田先生のロマンチック・レビュー・シリーズに属するものですので、
ロマンチック・レビューであることに今回も変わりませんが。
しかしながら、昔の作品を実感させるような古さはなくなってほしかったですね。
アルルカンとしての未沙さんの役割(各場面の紹介)はいらなかったと思います。
各場面のタイトルが書かれた巻物を毎回観客に見せるというところが
このショーが昔の作品から再構成されたものの証明になっているような気がしました。
そうとはいえ、宝塚らしいショーであることに変わりはないし、
初めて宝塚を鑑賞する人にはオススメの作品であるということは私も認めます。
それから、再構成とは言えども、『ル・ポアゾン』の有名な主題歌は、
Le Poison(毒薬)のようにいつまでも耳に残り、
この曲があるからこそ『ル・ポアゾン2』を『ル・ポアゾン』の再演だと言えると思います。
メロディーといえば「愛の誘惑」という場面で最初に凰稀さんが歌うシーンは、
『テンプテーション』で水さんや安蘭さんが「蛇」として歌った場面と同一のもので、
最初に緑色の衣裳を着て登場した彼女を観て、私は思わず「蛇だー!」と叫びたくなりました。
(というのも、衣裳まで同じでしたので。)

ちなみに今回のショーの構成は…
・プロローグ
・「愛の歓び」(『ナルシス・ノアール』で「月とパリス」と名づけられた場面へ)
・「愛の誘惑」(中詰め)
・間奏曲1
・「愛の葛藤」(『ナルシス・ノアール』より。)
・間奏曲2(『ナルシス・ノアール』の主題歌が歌われる。)
・「愛のロマンス」
・間奏曲3
・フィナーレ
といった感じでした。

私が好きだった場面はやはりプロローグです。これぞ宝塚!という感じがして、好きでした。
華やかで豪華で…まさに宝塚を象徴しているかのような場面でしたし。
他にも、柚希さんのエル・マタドール(「愛の葛藤」より)や、夢咲さんのアルテミス(「愛の歓び」)、
凰稀さんの「パラダイスの歌手」(「愛の誘惑」より…蛇!と叫びたくなったところ)が好きでした。
マタドールといえばダンサーが似合うイメージがあるのですが、
柚希さんがかっこよく牛と対峙して踊っている姿が本当にかっこよくて…。
あの場面だけでももう一度観たい!と思いました。
夢咲さんのアルテミスはバレエの踊りが予想以上にこなしていたことに対する驚きもあって。
つまさきが伸びてる!脚を高く上げられている!ということにいちいち感動しながら観ていました。
凰稀さんの「パラダイスの歌手」は彼女の美しさに敬意を表して…。
注目ポイントは今挙げた3人以外にも、
夢乃さんの間奏曲1での「歌うヤング男」(彼女の見どころと言えばまずコレだと重いました)や、
鶴美さんの「愛の歓び」での「パン・フルートの少年」(彼女の踊りが素晴らしい!)
壱城さんの「愛の誘惑」での「踊る女A」(見た目が綺麗で、彼女のダンスが美しくて…)などなど。
妃咲せあらさんや稀鳥まりやさんの活躍も嬉しかったし、
花愛瑞穂さん(「愛の誘惑」の「歌うイヴ」)や白妙なつさん(エトワール)の歌唱もよかったです。

今回は本当に名古屋に行って正解だったと思いました。
柚希・夢咲・凰稀のトリオとして、柚希・凰稀のコンビとしての集大成を観ることができましたし。
私はこのトリオが好きだったんだなあと実感しました。
ですから、凰稀さんの異動が非常に寂しいです。でも、宙組でも頑張ってほしいので応援しています。

ではでは、今日はこれで。
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