「将棋」と「チェス」 [本のススメ]
お盆も過ぎ、夏もあと少し…という時期になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
学生時代、1番好きな夏休みの宿題が「読書感想文」だった私です、こんにちは。
「読書感想文」についてですが、出来はともかく書くのが本当に楽しかった思い出しかありませんね。
本を読んでから感想文を書き終えるまで1日もかかりませんでした。
小学生のときに一度全国のコンテストか何かに出させていただけたおかげで、
自信がついたのでしょう。毎年どの本を読もうか楽しみにしていたくらい好きでした。
そんな私は漫画も好きです。
色々な漫画を読んでいます…少女漫画という範囲内の「色々」ですが(笑)。
(というより、少年漫画以外というべきでしょうか?)
今日は漫画と本それぞれ1冊ずつ挙げて感想を書いていければと思います。
1冊目は漫画、『3月のライオン』です。
コンビニでも単行本が売られているほどなので、知らない人はあまりいないのではないでしょうか。
私はもともと羽海野チカさんの大ファンで、この漫画は1巻目(単行本)が発売になってから、
ずっと読んでいます。何度も何度も読み返していまして…それほどまでに好きな作品です。
簡単に言えば、「将棋」の物語なのですが…
「将棋」が好きな人でもそうでない人も楽しんで読んでいただけるんじゃないかなあと思います。
私自身この作品で初めて将棋が日本版チェスであることを知りまして、
それから将棋そのものに対しても興味を持つようになりました。
「将棋」も芸術やスポーツと同様厳しい世界であることを『3月のライオン』を通して知りました。
次に挙げる作品にも通じるのでここでは簡単に書きますが、
棋譜というのは芸術品であり、それを生み出す将棋ヤチェスはまさに芸術のようです。
いかに美しく駒を動かすかーそれが全てではないかなあと勝手に推測しています。
その美を追求するだけではなく勝ち負けも大切になっているところが残酷だなあとも思います。
美しくも残酷なゲームにのめりこんだ騎士たちと彼らの周りにいる人々の物語、
それが『3月のライオン』です。
また、この物語ではいじめ問題も登場しています。いじめの話は心が凄く痛くなります。
でも、少しでも「いじめられる・いじめた」の経験を持つ人なら、色々と感じるのではないでしょうか。
私自身「いじめ」までにはいかない経験を中学のときに体験しましたが、
そのことを思い出しながら読んでました。
本当につらいときにどう耐えていくか、そしてどのように自分を強くしていくかというところが、
これからの読んでいく楽しみです。…勿論、将棋の方も。
「将棋のはなし」と一言で片付けられない作品で、心にぐっとくる瞬間が何度もあります。
どれぐらい続くか分かりませんが、登場人物たちの笑顔を何度も見られれば!と思います。
…ちなみに私は島田八段と晴信さんが好きですね。(主人公の桐山くんもいいけどね…。)
こちらは小川洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ』というチェスの物語です。
アリョーヒンという伝説のチェスプレーヤーに憧れつつ、
多くの思い出が大きくなることを拒ませた少年の一生を描いています。
「リトル・アリョーヒン」という人形の影武者としてチェスを指すことを選んだ彼は
果たして幸せだったのか。-その答えは読む人の数だけ違うでしょうが、
私はチェスプレーヤーとして幸福な一生を送ったと思っています。
一度読むだけでは理解しにくく、私も同じ文章を何度も読み返し、
脳内でずっと言葉の意味を考えながら読んでいました。
だから、読了するのに時間が凄くかかりました。本当に読めば読むほど奥が深いと思わせる、
まるでスルメのような物語だと感じました。
私はまだ未読なのですが(本は購入済み!)『失われたときを求めて』を彷彿させます。
(未読とはいえ、ざっくりと一度読んでいるのでなんとなく雰囲気等は分かります。)
(それを読んだというのかもしれませんが…ちゃんと読んでいないので「未読」という扱いで。)
小川さんの小説を読んだのは今回が初めてなのですが、
「フランス人が好きそうな作家さんだな」と思います。
彼女の作品の1つである『薬指の標本』がフランスで映画化されたのもよく分かります。
『失われたときを求めて』を暗唱できるほどプルーストが好きなフランス人なら、
意味深長な文章を書く小川さんの小説が好きになるのは当たり前かなあと。
大きな出来事を実際より大げさに描くわけでもなく、
主人公の日常と彼の周りで起きた出来事をたんたんと書いている。
たったそれだけの小説なのですが、
1つ1つの言葉や行動の裏に隠された主人公の気持ちを追おうとすると、
何度も何度も文章を読み返さないと分からないのです。
…だから、毎回読むたびに新たな発見があって非常に興味深く読みました。
タイトルの「猫を抱いて」は猫を抱いてチェスを指していた「リトルアリョーヒン」(人形)を、
「象と泳ぐ」は由来に象が関わっていたチェスの駒「ビショップ(僧正)」を愛し、
チェスの宇宙で常に泳いでいた主人公を意味しているような気がしますが、
実際はあまりよく分かりません。(チェスの宇宙で泳ぐという表現はよく本文で出てきていました。)
主人公はアリョーヒンが「盤上の詩人」と呼ばれていたほど美しいチェスを指していたからこそ、
彼に憧れます。棋譜というものは「詩」そのもので、チェスプレーヤーは「詩人」である。
そして、チェスの宇宙はとても広く、人の心が露になり、それを隠すことは不可能。
そのような記述を読んだときにまさに芸術とも一緒だなあと思いました。
作品や舞台を通して芸術家の全てが分かるという言葉は小さい頃からバレエに夢中だった私が
よく耳にしていた言葉です。だから、チェス(将棋)と芸術は同じなんだと気づきました。
『猫を抱いて象と泳ぐ』は本当に色々と考えさせられました。アカデミックな薫りも感じさせます。
まさに大人のための小説、だと思います。カフェでゆっくりと珈琲を飲みながら読みたい一冊です。
この2冊と出会ってから「将棋とチェス、どちらをやってみようか?」と日々悩んでます。
私はチェスの駒「ナイト」が好きです。将棋では「飛車」の呼ばれる駒かなあと思いますが。
…『ブレイズメス1991』で私の好きな天城さんが自分を例える駒として挙げていたから(笑)。
チェス(将棋)を知ることで、もっと違った見方で今日書いた2冊の本を楽しめるんじゃないかと思うと、
身体がむずむずとしてきます(笑)。
それでは、今日はこれにて。
学生時代、1番好きな夏休みの宿題が「読書感想文」だった私です、こんにちは。
「読書感想文」についてですが、出来はともかく書くのが本当に楽しかった思い出しかありませんね。
本を読んでから感想文を書き終えるまで1日もかかりませんでした。
小学生のときに一度全国のコンテストか何かに出させていただけたおかげで、
自信がついたのでしょう。毎年どの本を読もうか楽しみにしていたくらい好きでした。
そんな私は漫画も好きです。
色々な漫画を読んでいます…少女漫画という範囲内の「色々」ですが(笑)。
(というより、少年漫画以外というべきでしょうか?)
今日は漫画と本それぞれ1冊ずつ挙げて感想を書いていければと思います。
1冊目は漫画、『3月のライオン』です。
コンビニでも単行本が売られているほどなので、知らない人はあまりいないのではないでしょうか。
私はもともと羽海野チカさんの大ファンで、この漫画は1巻目(単行本)が発売になってから、
ずっと読んでいます。何度も何度も読み返していまして…それほどまでに好きな作品です。
簡単に言えば、「将棋」の物語なのですが…
「将棋」が好きな人でもそうでない人も楽しんで読んでいただけるんじゃないかなあと思います。
私自身この作品で初めて将棋が日本版チェスであることを知りまして、
それから将棋そのものに対しても興味を持つようになりました。
「将棋」も芸術やスポーツと同様厳しい世界であることを『3月のライオン』を通して知りました。
次に挙げる作品にも通じるのでここでは簡単に書きますが、
棋譜というのは芸術品であり、それを生み出す将棋ヤチェスはまさに芸術のようです。
いかに美しく駒を動かすかーそれが全てではないかなあと勝手に推測しています。
その美を追求するだけではなく勝ち負けも大切になっているところが残酷だなあとも思います。
美しくも残酷なゲームにのめりこんだ騎士たちと彼らの周りにいる人々の物語、
それが『3月のライオン』です。
また、この物語ではいじめ問題も登場しています。いじめの話は心が凄く痛くなります。
でも、少しでも「いじめられる・いじめた」の経験を持つ人なら、色々と感じるのではないでしょうか。
私自身「いじめ」までにはいかない経験を中学のときに体験しましたが、
そのことを思い出しながら読んでました。
本当につらいときにどう耐えていくか、そしてどのように自分を強くしていくかというところが、
これからの読んでいく楽しみです。…勿論、将棋の方も。
「将棋のはなし」と一言で片付けられない作品で、心にぐっとくる瞬間が何度もあります。
どれぐらい続くか分かりませんが、登場人物たちの笑顔を何度も見られれば!と思います。
…ちなみに私は島田八段と晴信さんが好きですね。(主人公の桐山くんもいいけどね…。)
こちらは小川洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ』というチェスの物語です。
アリョーヒンという伝説のチェスプレーヤーに憧れつつ、
多くの思い出が大きくなることを拒ませた少年の一生を描いています。
「リトル・アリョーヒン」という人形の影武者としてチェスを指すことを選んだ彼は
果たして幸せだったのか。-その答えは読む人の数だけ違うでしょうが、
私はチェスプレーヤーとして幸福な一生を送ったと思っています。
一度読むだけでは理解しにくく、私も同じ文章を何度も読み返し、
脳内でずっと言葉の意味を考えながら読んでいました。
だから、読了するのに時間が凄くかかりました。本当に読めば読むほど奥が深いと思わせる、
まるでスルメのような物語だと感じました。
私はまだ未読なのですが(本は購入済み!)『失われたときを求めて』を彷彿させます。
(未読とはいえ、ざっくりと一度読んでいるのでなんとなく雰囲気等は分かります。)
(それを読んだというのかもしれませんが…ちゃんと読んでいないので「未読」という扱いで。)
小川さんの小説を読んだのは今回が初めてなのですが、
「フランス人が好きそうな作家さんだな」と思います。
彼女の作品の1つである『薬指の標本』がフランスで映画化されたのもよく分かります。
『失われたときを求めて』を暗唱できるほどプルーストが好きなフランス人なら、
意味深長な文章を書く小川さんの小説が好きになるのは当たり前かなあと。
大きな出来事を実際より大げさに描くわけでもなく、
主人公の日常と彼の周りで起きた出来事をたんたんと書いている。
たったそれだけの小説なのですが、
1つ1つの言葉や行動の裏に隠された主人公の気持ちを追おうとすると、
何度も何度も文章を読み返さないと分からないのです。
…だから、毎回読むたびに新たな発見があって非常に興味深く読みました。
タイトルの「猫を抱いて」は猫を抱いてチェスを指していた「リトルアリョーヒン」(人形)を、
「象と泳ぐ」は由来に象が関わっていたチェスの駒「ビショップ(僧正)」を愛し、
チェスの宇宙で常に泳いでいた主人公を意味しているような気がしますが、
実際はあまりよく分かりません。(チェスの宇宙で泳ぐという表現はよく本文で出てきていました。)
主人公はアリョーヒンが「盤上の詩人」と呼ばれていたほど美しいチェスを指していたからこそ、
彼に憧れます。棋譜というものは「詩」そのもので、チェスプレーヤーは「詩人」である。
そして、チェスの宇宙はとても広く、人の心が露になり、それを隠すことは不可能。
そのような記述を読んだときにまさに芸術とも一緒だなあと思いました。
作品や舞台を通して芸術家の全てが分かるという言葉は小さい頃からバレエに夢中だった私が
よく耳にしていた言葉です。だから、チェス(将棋)と芸術は同じなんだと気づきました。
『猫を抱いて象と泳ぐ』は本当に色々と考えさせられました。アカデミックな薫りも感じさせます。
まさに大人のための小説、だと思います。カフェでゆっくりと珈琲を飲みながら読みたい一冊です。
この2冊と出会ってから「将棋とチェス、どちらをやってみようか?」と日々悩んでます。
私はチェスの駒「ナイト」が好きです。将棋では「飛車」の呼ばれる駒かなあと思いますが。
…『ブレイズメス1991』で私の好きな天城さんが自分を例える駒として挙げていたから(笑)。
チェス(将棋)を知ることで、もっと違った見方で今日書いた2冊の本を楽しめるんじゃないかと思うと、
身体がむずむずとしてきます(笑)。
それでは、今日はこれにて。
2011-08-17 18:20
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