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『Le Parc ル・パルク』 [marine的コラム]


Paris Opera Ballet Box Set [DVD] [Import]

Paris Opera Ballet Box Set [DVD] [Import]

  • 出版社/メーカー: Bel Air
  • メディア: DVD



最近ずっと暑い毎日ですが、皆様ご機嫌いかがでしょうか?
働くか本を読むかDVDを観るか寝るか…という限られた行動しか最近とっていないmarineです、
こんにちは。夏バテにならぬよう気をつけたいものですね。(これでも夏バテになりやすい人なので。)

今日は私の大好きなバレエ『Le Parc ル・パルク』について書いていきます。
私が買ったDVD BOXにはこの作品以外にも『PROUST プルースト』や『Sygne シーニュ』の
DVDも入っています。『プルースト』は『失われたときを求めて』のバレエ化であり、
メタファーがたくさん散りばめられた一度では理解しきれない作品でした。
『シーニュ』はまだ一度も鑑賞していない作品です。そういうわけで、今回は『ル・パルク』のみです。

『ル・パルク』の舞台は18世紀フランスの宮廷。
貴族の男女が宮廷遊戯を楽しんでいるなか(椅子取りゲームやかくれんぼ)、
男性と親密な関係になるのを拒絶したヒロインとそんな女性に惹かれる男性の物語。
当時男性の気を惹くため女性も男装していたという逸話もあるようで、
1幕では男女関係なく男性の宮廷服を着て踊ります。
2幕では男女の仲が進展していく様子を、3幕では男女の恋が成就するところをそれぞれ描かれ、
これはいわゆる「愛の物語」だと思って観られることをお勧めします。

この作品の魅力は3つの男女のパ・ド・ドゥでしょう。
各幕のラストにある主人公2人の踊りはその時々の2人の心を表していて、
その踊りだけでも恋愛ドラマとして十分楽しめます。
そのなかでも、私は3つ目のパ・ド・ドゥが好きです。
DVD BOXの表紙にもなった、長いキスを交わしつつ男が女の身体を中空に振り回しながら回転する、
というあの振付が魅力となっている踊りです。…下着姿で踊る時点で2人の愛がどれほどのものか、
観客は痛いほど分かることと思います。私はそんな2人の情熱的な愛を観て、
「恋愛って素晴らしいんだなあ」ということを感じていました。

また、このバレエ作品はモーツァルトの音楽が使われています。
プレルジョカージョの振付とモーツァルトの音楽が見事に上手く重なって、上品な舞台になっています。
貴族達の行動全てが優雅に見えるのは振付と音楽の賜物です。
18世紀フランスの貴族がどういうオーラをもっていたのか、色々と想像してしまいます。

実際に私は2008年5月のパリオペラ座バレエ来日公演でこの作品を観ています。
ルグリ&プジョル、ル・リッシュ&コゼットのコンビで上演されていました。
私が観たときはルグリとプジョルが主人公達を演じていました。
私が今1番観たいキャスティングはル・リッシュとオーレリーのコンビなのですが、
いつか実現してくれないかなあとただただ願うばかり。…そして、その公演をガルニエ宮で観たいです。

そのときに3つ目のパ・ド・ドゥを観て、マクミランの『マノン』の沼地のパ・ド・ドゥを思い出しました。
あちらはもう命の炎が消えかけているマノンと彼女を盲目的に愛すデ・グリューの破滅的な愛でしたが、
こちらは愛のキューピッドも祝っているであろう永遠に続く愛が描かれていますので、
今となっては少し違うかなあと思ったりも。まあ、私は『ル・パルク』の方が好きですね。

この作品におけるキューピッドである庭師は全身黒の格好に黒のゴーグルをつけて、
各幕最初にその幕の象徴的ともいえる動きを交えた振付を踊っています。
この庭師のキャスティングは結構有望な若手男性ダンサーが中心らしく、
パリオペラ座バレエファンにとって注目したい役どころでしょうね。
来日公演時はコンテを中心に活躍するゴディオンや『椿姫』のお間抜け伯爵ことN伯爵を演じていた、
ボデやヴァラストロも踊っていました。(ゴディオンは『くるみ~』のフリッツも踊っていましたね。)

今回購入したDVDでは初演のキャストで行われた公演を録画したもので、
ローラン・イレールとイザベル・ゲランが踊っています。
イレール様はもう引退されたエトワールですが、本当にかっこいいダンサーでした。
かっこいいな、素敵だなあ…と彼が引退してからファンになった私です。
日本で観られた彼のペトルーシュカは一生の宝物です。
ゲランさんは彼女の筋肉質が見所…ではなく、男性を拒絶する唯一の女性としての気高さが
まさにこのヒロインにぴったりだなあと思います。
プレルジョカージュ本人も褒める2人のパートナーシップは本当に素晴らしいです。
熱い愛を感じさせました!(イレール様の奥様はさぞ嫉妬心で胸がいっぱいになったのではないかと…。)

DVDにはプレルジョカージョさんのインタビューも入っていましたが、
(当然ながらフランス語、字幕はついていませんでした…だから勝手に解釈して観ていました)
フランスのサロン文化が大きく発展した時代をイメージして作られた作品だそうです。
確かに象徴的に使われている「友愛の国の地図」はスキュデリーが主宰していたサロンこと
「Samedi サムディー」で作られたものではなかったかしらん?
ランブイエ侯夫人やラファイエット夫人の名前も出てきていました。
ラファイエット夫人が書いた『クレーヴの奥方』は
サロン文化やフランス貴族の生活を理解するには最適な資料なのではないかと思います。
どこか『ル・パルク』と同じ空気を感じますし、悲劇でありつつもいくつかの愛の存在を
改めて学んだような気がした一冊でした。短い話ですし、読みやすい小説ではないでしょうか。
サロン文化は洗練された言葉がたくさん生まれたところでもあります。
フランス語が貴族の言葉としてヨーロッパで話されていたのもよく分かるような気がするほどです。
上流貴族が主宰するサロンは様々な美点を持つ人しか出入りできず、
人々は必死で自分を磨いたと聞きます。だからこそのどこか上品な遊びや逸話も生まれたのでしょう。
私自身大学の授業で学んだとはいえ、さほどサロンについて詳しくないのですが、
それでもフランスの歴史の中ではサロンが急激に発展したと考えられる17世紀が好きですね。
(まあ、『ル・パルク』の舞台は18世紀なんですけどね。)

ではでは、今日はこんなところで。

様々なバレエの感想を読んでいると、
プレルジョカージュの振付作品は好き嫌いがハッキリと分かれるようですね。
実際に観た結果、好きに慣れなかった人の気持ちは理解できますが、
(私にも嫌いなコリオグラファーがいますしね~相性の問題ですからね~)
食わず嫌いのように観てもいないのに「苦手」と見た目で判断する人には一度観てほしいとは思います。
フランス人が愛するプレルジョカージョ作品はどこか抽象的で、
クラシックバレエに近い独特な動きで構成された振付となっていて、そこが好きです。
常に上品さを失わないところもクラシック音楽を好んで使っているところも私好みです。
(まあ、怖そうなので『メディアの夢』は一生観られないと思うけれど。)
いつかプレルジョカージョのバレエカンパニーが来日公演をしてくれないかなあと願っています。

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