ファーストデーを堪能す。

9月1日は映画を2本観てきました。
私はもともと「映画は映画館で！」と考えているタイプの人間ですし、
映画館に行くのが大好きであるにも関わらず最近行けていなかったのもあります。

『神様のカルテ』と『うさぎドロップ』を見てきたわけですが、
この2作品の共通点は似たような役で池脇千鶴さんが出演しているということぐらいかな。
どちらも原作もあるということも共通点のうちに入るのかな。
私は両作品とも原作がきっかけで映画を観ようと思った人間なので、
今回観に行くことが出来てよかったなあと思います。


まずは『うさぎドロップ』について。
先に『神様のカルテ』を見ていたせいか、「うーむ」と良作とは言えない気持ちになりました。
ダイキチ役の松山ケンイチさんやりん役の芦田愛菜ちゃんの演技は凄く素晴らしく、
2人を見るだけでも見ごたえはあります。
ただ原作のラストを知っていたり原作が好きだからという理由で観に来たりした人にとっては
複雑な気持ちになったんじゃないかなあと思います。
ダイキチとりんの関係は親子とは言えない特殊なものだったからこその良さがあったのに、
今回はあくまでも親子愛がテーマになっていて、私はそれを受け入れられませんでした。
ダイキチはりんの血縁的な父親ではないけれど「父親」にはなれるんだというメッセージ性が
私には作品の良さをぶち壊すひとつの原因だったのではないかと思ったりも。
『うさぎドロップ』の良さはそういうものではなくて、
あくまでも人間と人間の言葉で表現できない関係性が生み出すドラマなんじゃないか、
と考えているんですよね。ダイキチとりんは親子じゃないからこそ原作のラストが生きてくるんですよね。
子育ての漫画と考える時点で原作の良さを引き出せていなかったのでは？と
後でパンフレットを読みながら思いました。
あと、コウキママの香里奈さんがミスキャストだった感は否めないです。彼女の演技が問題ではなく、
もともとの彼女の持ち味がコウキママには合っていなかったんですよね。
一応職業をモデルに変えている時点で漫画のコウキママとは違うとは分かっていたんですけど、
コウキママがもたらす作品の良さというものまで変わっていたのでがっかりしました。
それからダイキチの妄想シーンもいらなかったです。どうしてダイキチが踊るの？と突っ込みながら
観ていました。（しかもコウキママと…本当にありえないです。）
妄想シーンがあるせいで、物語がまっすぐと見えてこなくなってしまい、
作品のメッセージ性が全く伝わってこないと思いました。まさにごちゃごちゃした映画になっていました。
あの場面さえなければもっとスッキリとした映画になったような気がします。
まあ、この映画は芦田愛菜ちゃんの名演技を堪能するものです。
松山ケンイチさんも素晴らしく、来年の大河ドラマに期待が持てそうです。
（カズミ役の桐谷さんもよかったと思います。これからの活躍に期待してます！）

次に『神様のカルテ』。
泣きました、思いっきり泣いてしまいました。
加賀まりこさん演じる安曇さんが素晴らしかったです。彼女の名演技があればこその映画ですし、
彼女が出演していなければ作品の価値が下がっていたんじゃないかと思うぐらいです。
私が泣いたシーンはまさに安曇さんに関係するところだったので、
加賀まりこさんって本当に素晴らしい女優さんなんだ、と心から実感しました。
櫻井さんの一止さんはよかったと思います。しかし、私のイメージする人ではなかったです。
私は西島秀俊さんのような人をイメージしていたせいかな？
また、くるくるとしたパーマが一止さんっぽくなかったかもしれないです。しかも、似合っていなかったし。
ハルさんの宮崎あおいさんはまさにハルだ…！と思いました。原作からそのまま出てきたかのような
人物を演じていて、宮崎さんがハルさんでよかったと心から実感しました。
ま、映画のラストには驚きました。うーん、原作ではそろそろ3作目が刊行かといわれているのに、
映画の続編はなしか、と残念な気持ちになりました。
砂山さんの設定もがっかりしましたね。要さんはすごくよかったんですけど、
原作の砂山さんを要さんには演じてほしかったです…あそこまで将来を考える男ではなくて。
男爵（原田さん）や学士殿（岡田義徳さん）は本当に良かったです。
学士殿のエピソードでも思わず泣いてしまいました。本当に素晴らしかったです。
他のキャストもよかったですね。観て正解だったと心から感動しました。

ではでは。
『神様のカルテ』に出てきた『草枕』（しかも小学館文庫！）を購入した私の感想文でした。